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カネか充実感か?おそらくどちらも、あるいはケースバイケース(モチベーション理論)

モチベーション理論とは、端的に言えば、「人の行動を動機づけるものは何か」「どうすれば動機づけられるのか」をテーマにしたものです。経営組織論のテキストを見ると、代表的なものでも20近くあり、それ以外にもミクロ経済学や行動分析学(臨床心理学)的なアプローチもあり、なかなか結論がはっきりしません。

大きな軸としては、「人を動機づけるのはカネか充実感(仕事内容)か」という観点から議論されていて、経営学的には「充実感」重視の考え方に傾斜しているところがあります。給料もなかなか上がらないし、「充実感」の方が自分でコントロールしやすそうであること、道徳的にも「カネ」重視とは言いにくいこともあり、「やっぱり充実感だ!」と考えがちかもしれません(少なくとも建前上は)。

しかしながら、少し考えてみれば分かることですが、誰でもそれなりの所得は必要ですし、同じことをするなら沢山おカネをもらえたほうがよいでしょう。また残念ながら、単純なルーティンワークのように、どうしても充実感を感じられないものもあるでしょう。そもそも「カネか充実感か」という2項対立そのものが間違いなのです。


動機づけ=衛生要因理論

モチベーション理論の1つに、「動機づけ=衛生要因理論」というものがあります。これは、端的に言うと、「満足」「不満なし」「不満」の状態に分け、「不満」の状態から「不満なし」の状態に持っていく要因を衛生要因、「不満なし」の状態から「満足」の状態に持っていく要因を動機づけ要因に分類するというものです。

<衛生要因>
 衛生要因の特徴は次のとおりです。
・低次元の要因であり、仕事そのものではなく、それの外にある(外発的な要因)。
・賃金、作業条件、経営方針、上司や同僚、部下などとの人間関係などが該当する。
・なければ不満だが、しかしあったとしてもまったく満足するに至るということはない(満足の要因にはならない)。


<動機づけ要因>
 動機づけ要因の特徴は次のとおりです。
・高次の要因であり、働くという行為そのもののなかにある(内発的な要因)。
・達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進、成長などが該当する。
・なくても不満ということはないが、経験するといっそう満足を得るような欲求である。


つまり「おカネは不満の要因ではあるが、満足にはつながらない」「人を主体的に動機づけるためには動機づけ要因を高める必要がある」とし、そのためには権限委譲を進めたり、公正な評価が行われる仕組みを充実させたりする必要があるということです。もちろんおカネは不満の原因にはなりますから、相応の金銭的報酬は提供する必要があります。

動機づけ=衛生要因理論は、単に「満足か不満か」の2項対立ではなく、「不満⇒不満なし」と「不満なし⇒満足」に分け、それぞれの要因が異なるとしている点が興味深いところです。なかなかこれだけでモチベーションを説明しきれるものではないのですが、1つの考え方としては参考になります。

【参考】
「モチベーション入門」田尾雅夫著 日本経済新聞社
「組織行動のマネジメント」スティーブン P.ロビンス著 ダイヤモンド社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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