ストーリーを経営に活かす③
■物語を生かしたマーケティング手法であるナラティブ・プランニング
著名なマーケティング作家のセス・ゴーディンは次のように語っています。
「マーケターは優れた物語の語り部であれ」
ストーリー(物語)を生かしたマーケティング手法をナラティブ・プランニングといいます。ターゲットとする消費者を想起させるキャラクターを主人公とした物語風の映像や文章などを発信し、消費者の心の中に「このサービスを使いたい!」「こうなりたい!」という思いを芽生えさせるものです。サントリー「伊右衛門」やソフトバンク「白戸家」、auの「三太郎」などをイメージして頂ければよいです。
ナラティブ・プランニングのメリットとしては次のようなことが挙げられます。
【創作プロセスにおいて】
・ターゲットユーザーに対する理解が深まる
・ブランドの深層の意味(インサイト)が浮かび上がる
・プランニングそのものの充実感
【創作された物語の活用において】
・マーケター同士のブランド理解の共通項が広がる
・消費者に対してブランド価値を伝えやすくなる
■物語で売る時代
企業戦略アドバイザーのロルフ・イエンセンは、製品・サービスを問わず、ほとんどの企業活動が人々に物語の喜びや感動を提供する競争になるとし、その市場のあり方を挙げました。
①
冒険売ります。
②
一体感・友情・愛
③
思いやり
④
私は誰
⑤
心の安らぎ
⑥
信念
物語に乗せて商品やサービスを売っていく時代なのです。
■ナラティブ・プランニングにおける記述要素
物語を創る上で必要となる記述要素は次のとおりです。
<対象商品>
自社が扱う商品・ブランド
<物語の世界観>
物語のジャンルや雰囲気、設定
<登場人物>
主人公:典型的なターゲットユーザー層
敵対者:主人公を否定し立ちはだかる人
協力者:主人公に協力したりアドバイスしたりする人
<タイトル>
物語のテーマから考案されたタイトル
<物語の流れ>
越境:主人公の状況変化
危機:主人公の危機と敗北
成長;主人公の転機、援助と成長
勝利:主人公の勝利
<ブランドインサイト>
この物語から読み取れる商品の真の意味
<物語の伝達手段>
この物語の伝え方
【参考】
「事例でわかる物語マーケティング」山川悟著 日本能率協会マネジメントセンター
『コンテンツマーケティング』新井範子、福田敏彦、山川悟著 同文舘出版