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獲得効用

■同じ缶ビールなら値段は同じか?

 

従来の経済学では、「人間は経済的合理性によって行動を決める」という前提に立っていました。たとえば、ある製品から得られる便益がその製品を手に入れるための費用を上回るなら、買い手はその製品を購入するのが合理的です。

 

あなたが240円の缶ビールを買うのは、240円を上回る便益を認めているからだというわけです。「確かにそのとおりだ」といいたいところですが、われわれは実際には必ずしもそのような考えで消費活動を行っているわけではありません。次のケースを考えてみましょう。

 

「あなたは暑い夏の日に海外のリゾート地のビーチで寝そべっている。喉が乾いて缶ビールが飲みたくて仕方がない。そこで友人に近くにある唯一の売店まで缶ビールを買い出しに行ってもらうことにした。その売店が高級リゾートホテルのバーカウンターだったら、あなたは1本当たりいくらまでなら買うように指示するか?またその売店が寂れた小商店ならどうか?なお、どちらの場合も缶ビールの銘柄は同じである。」

 

MBAの学生に向けたセイラーの実験によれば、高級リゾートホテルの場合は買値の上限の平均は7.25ドル、小商店の場合は4.1ドルでした。なるほど「小商店ごときにプレミアムを払いたくない!」というわけです。

 

当然の結果だと思うかもしれませんが、これはまったく非合理なことです。どちらで買おうと同じ缶ビールなのだから、買値は同じでなければおかしいです。

 

 

人は損得感で判断する

 

人間は何らかの追加的な満足感(効用)を得るためにモノを消費します。セイラーは、この効用を2つに分けました。

 

1つは、先に触れた従来の経済学の考えと同じで「追加的な便益-追加的な費用=追加的な効用」です。これを獲得効用といいます。

 

2つめは、取引の損得感です。人はその価格に納得感を得られれば購入しますが、その際に基準とするのが日頃から培われた値頃感です。自分の値頃価格(参照価格)より安ければ得したと感じて購入し、高ければ購入しません。この損得感を取引効用といいます。

 

ケースの例では、高級リゾートと小商店では損得感が違い、小商店の高い価格は消費者の値頃感からして受け入れてもらえません。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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