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過去の投資が将来を縛る(サンクコスト)

<ケース1>

あなたは自動車メーカーのCEOで、コストが1億ドルの新車の開発計画を進めている。必要な1億ドルのうち9,000万ドルを投資したあとで、競合他社がより環境に優しく、燃費が良く、手頃な車の開発を終えようとしていることを知る。あなたは新車の開発を進めるだろうか、それとも中止するだろうか?

 

<ケース2>

あなたは自動車メーカーのCEOで、新車の開発計画を予定している。開発の総コストが1,000万ドルで、まだ1ドルも投資していない。計画を開始しようというまさにそのとき、競合他社がより優れた車を設計したことを知る。この場合、1,000万ドルを投資するだろうか?

 

このような質問をすると、ケース1では「投資を継続する」、ケース2では「投資しない」という回答が圧倒的に多いといいます。しかしながら、両者とも「これから1,000万ドルを投資するか」という意味では同じあり、回答は同じでなければならないはずです。

 

ケース1の判断を迷わせているのが、過去への投資です。「ここでやめてしまっては、今までの投資が全て無駄になってしまう」という恐れが投資を継続させてしまいます。これをサンクコスト(埋没費用の罠)といいます

 

サンクコスト(埋没費用)とは、すでに投資をしてしまい、後から回収できない(埋没してしまっている)コストのことです。

 

過去の投資のせいで今後も同じ道を歩む必要はありません。合理的に考えれば、以前の投資は何も意味をもちません。さらにそれが失敗したとあっては、それはもう取り戻せない費用です。

 

より重要なのは、ゼロベースで考え、未来の価値をどう予測するかです。インテルのゴードン・ムーアやアンディ・グローブが事業の撤退やトップ人事の見直しを決めるときに、「もし新しいCEOだったら」「もしこれから参入(あるいは採用)するのだったら」どうするか?という視点を持っていたといいます。ケース1でいえば、「競合他社がすでに優れた車を出している段階で、新車開発を手がけることが妥当なのか」という観点です。

 

【参考】

『アリエリー教授の「行動経済学」入門-お金篇-』ダン アリエリー、ジェフ クライスラー 著 早川書房

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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