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日本の労働生産性は本当に低いのか?

「日本の労働生産性はOECD加盟36カ国中21位である。日本経済のカギは労働者の生産性にかかっている」そんな話をよく耳にします。確かに「IT教育が遅れている」「無駄な会議や報告書が多い」など非生産的なことはあるでしょう。しかしながら、日本の生産性は本当に低いのでしょうか?

 

■昔から日本の国際順位は変わらない

 

日本生産性本部が発表している「時間あたり労働生産性」の「OECD加盟国における日本の順位」の推移は次のとおりです。

 

1980年 19

1990年 20

2000年 20

2010年 20

2019年 21

 

自動車や家電製品がアメリカ市場を席巻した1980年以降でみても、日本の国際順位は19位にすぎず、ランキングでいえば昔も今も対して変わっていないのです。ちなみに米国との比較でいえば、1990年代前半時点では日本の労働生産性は米国の約70%で、現在の6割強よりもやや高い程度です。

 

よく「バブル崩壊以降、日本人の勤勉性が低下して生産性が落ちた」などということを言う識者がいますが、単なる精神主義であり、まったくの間違いであることは言えるでしょう。

 

 

■為替レートの想定が日本の生産性を低くしている?

 

経済が好調であった1980年から90年にかけても、OECDの中で日本の労働生産性が低いというのはどういうことなのでしょうか?

 

当時から「日本の改善努力はすばらしい」「日本は世界に先駆けてFA化を行った」「品質がよくムダが少ない」と言われていました。少なくとも米国より合理化が遅れているなどという論調は皆無でした。オイルショックや1980年代の円高不況時の日本企業の合理化を考えると、日本の生産性は国際的に見ても高かったと考えられます。

逆に欧米では日本のような翌日宅配などはほとんど見られず、取引契約においても様々な手続きがあって取引コストが高い、役割分担が明確である分、調整コストがかかり面倒であるといった非効率があるのではないでしょうか。

 

そうなると、「そもそも労働生産性の国際順位なるものが当てにならないのではないか」という疑問に行き着きます。労働生産性の国際比較を行う際には、ドル換算で行われます。日本生産性本部の資料によれば、購買力平価から導きだされる理論値で各国通貨をドルに換算しているとあります。この円ドル為替レートの理論値がゆがみを生じさせ、日本の労働生産性を不当に低くおさえてしまっている可能性があります。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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