fc2ブログ

「マクロとミクロの視点を使い分ける~経営学と経済学の間を往来する」①

私は経営に関するコンサルタントや、講義・セミナー・研修の講師をしている一方で、経済に関する講義や執筆活動もしています。つまり経営学と経済学の間を行ったり来たりするという立場で、経営コンサルタント(あるいは中小企業診断士)としてはいささか珍しい立場です。今回は、経営学と経済学の使い分けについて述べたいと思います。

 

■経営学と経済学では目的が異なる

 

多くの方は、「経済学と経営学を同じもの」、あるいは「経営学は経済学の1つのジャンル」と捉えているかもしれません。確かに経営学は経済学をベースに誕生したという経緯がありますが、両者はまったくテーマ(目的)が異なります。

 

経営学は突き詰めれば「単一の企業の利益の最大化(ミクロの観点)」をテーマにするのに対し、経済学は「国全体の利益の最大化(マクロの観点)」をテーマにします。

 

ここでよくある誤解が、「ミクロの合計がマクロになる」、言い換えれば、「1つ1つの企業が利益の最大化のために望ましい行動をすれば、国全体の利益(GDP)が最大化する」というものです。この考え方は誤りです。

 

一企業が利益を最大化するためには、同業者との競争を脱し、独占に近い形を目指すことになり、経営学でもそのように教えます。しかしながら、一企業が市場を独占すると、価格が不当に上がり、消費者は損をするので、企業(売り手)と消費者(買い手)からなる経済全体では利益が阻害されることになります。よって、経済学ではできるだけ、市場を完全な競争状態に近い状態にすることを求めます。独占禁止法はその趣旨に沿ったものです。

 

またイノベーションの成功事例を数多く起こすことが国全体としての課題ですが、そのアプローチについても大きく異なります。経営学では1つ1つのイノベーションの成功確率を高めることに力点が置かれます。一方、経済学ではイノベーションはそもそも成功確率が低いものなので(ハイリスク・ハイリターン)、個々の質はともかくできるだけ多くのイノベーションを発生させるための環境整備に力点を置きます。要は「数打ちゃ当たる」という発想です。具体的には規制緩和や研究開発投資を促す仕組み(税制や資金調達市場など)の整備です。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR