fc2ブログ

相関関係と因果関係③(教育にお金をかけると企業業績は上がる?)

 前回、因果関係の成立要件の1つである時間的順序関係(もしXがYの原因であるならば、XがYより時間的に先に起こっていなければならない)に関する錯誤の例を見ました。経営書や広告などでよく見られる次のケースについて、反論を考えてみましょう。

Q1:
低コスト企業は市場シェアが高い。よって市場シェアを高めるためには、低コスト化を図るべきだ。

A1:
市場シェアが高いからこそ低コスト化が図られているのではないか。


Q2:
管理者教育にお金をかけている企業は業績が良い。よって業績を高めるためには管理者教育に十分なお金をかけるべきだ。

A2:
もともと業績が高い企業でないと管理者教育に予算を割けないのではないか。単に業績が高い企業が管理者教育に予算を割いているだけではないか。


Q3:
イノベーションを行っている企業ほど業績が良い。よって業績を高めるためにはイノベーションを推進すべきだ。

A3:
イノベーションを行えば企業は成長するだろう。ただしイノベーションの推進にはお金がかかるしリスクが大きい。業績が良いからイノベーションを推進できるのではないか。


Q4:
ベイン・アンド・カンパニー(外資系コンサルティング・ファーム)の顧問先には優良企業が多い。よって我が社もベイン・アンド・カンパニーとコンサルティング契約を結ぶべきだ。

A4:
もともと優良企業だから高額のコンサル・フィーを取るベイン・アンド・カンパニーと契約できるのではないか。


 このように見ると大家と言われる学者の書いた経営書であっても、因果関係の把握のミスが非常に多いことに気がつきます。広告の謳い文句については、ミスというよりはもはや意図的とさえ言えます。なぜ経営学者はエラーを起こすのかについては回を改めて考えたいと思います。

【参考】
『なぜビジネス書は間違うのか』フィル・ローゼンツワイグ著 日経BP社
『改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング』グロービス経営大学院著 ダイヤモンド社
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR