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電波オークションの経済学①

2020年度のノーベル経済学賞が昨年1012日に公表され,スタンフォード大学のポール・ミルグロム教授とロバート・ウィルソン名誉教授の2名が選ばれました。オークション理論の基本的な内容と,両氏が設計にかかわった電波オークションの仕組みについて取り上げてみます。

 

 

■電波オークションの目的は納税者の利益

 

電波帯のような公共財の場合,以前は,当局による指定事業者への割り当てが行われていました。これは適切な経済的評価ができない当局側が,信頼できると考えた事業者にその電波帯を割り当てるので,競争原理が働かず,不当に安い価格で払い下げられることになります。これでは納税者に最大の利益をもたらすことができません。

 

オークションは,適切に設計すれば,商品に対する適切な経済的評価が可能となり,最適な資源配分が実現するマーケットシステムです。

 

オークションというと,まずサザビーズなどの美術品のオークションやネットオークションを思い浮かべるかもしれません。「それぞれの商品にもっとも高値で入札した人が落札する」というものです。しかしこれはオークションの1つの形態に過ぎません。

 

 

■オークションの様々な形態

 

オークションには様々な形態があり,取扱う商品にも違いがありますが,代表例を示します。

 

〇イギリス式とオランダ式

前者は,「競り上げ式」で,競売人は低価格から始め,段階的に価格を引き上げるというものです。最高額で入札した人が落札します。我々のイメージするオークションにもっとも近いものでしょう。

後者は「競り下げ式」で,競売人は最初に非常に高い価格を提示し,落札されるまで徐々に価格を引き下げるというものです。

オークション図2

 〇私的価値と共通価値

その商品の価値が個人的な主観によって異なる場合と,ほぼ同じ場合の違いです。オバマ元米大統領との昼食会の権利は,民主党支持者にとっては価値が高いでしょうが,共和党支持者にとっては低いでしょう(私的価値)。また,千円札の価値は誰にとっても等しいでしょう(共通価値)。

さらに買い手側はそれぞれ異なる私的情報を持っている(商品価値に対する情報の正確性に差がある)という複雑さがあります。よって,多くの商品は私的価値と共通価値の両面の性格を持ちます(電波帯も同様)。

 

〇単一の商品と複数個の商品

オークションの対象が1つなのか、補完関係にある複数まとめてなのかの違いです。後者は、1つだけでは意味があまりなく複数のものがセットとなることで大きな価値を生む場合です。

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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