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リモートワークで働き方はどう変わるのか?

 

コロナ禍の影響で、リモートワークがすっかり定着した感があります。リモートワークの進展により、社員の働き方や、企業の雇用管理は大きく変わることが予想されます。

 

 

■これまでの職場での人事評価

 

人材の評価は実績評価が基本ですが、実績は運不運によるところも大きいですから、実績に至るまでのプロセスも評価するというのが基本です。

 

たとえば営業マンを考えた場合、販売実績というパフォーマンスは、客先事情などどうしても不可抗力的な影響を受けます。よって、正しい営業プロセスを踏んでいれば、それをもって評価するという考え方があります。また、やる気や協調性、規律といった態度で評価する情意評価もその一貫と言えます。

 

これまでは、職場で上司は日頃、直接部下の働きぶりを見ていますので、情意評価やプロセス評価はしやすい環境にありました。また、上司は部門の状況を見て、臨機応変に余裕のありそうな部下に仕事を割り当てることができました。特に日本企業の場合は、個人の職務分担が不明確であり、その点では柔軟に仕事に対処することができました。

 

 

■リモートワークでアメリカ型雇用管理が進む

 

一方、リモートワークでは、情意評価やプロセス評価はどうしても困難であり、必然的に実績評価の比重が高くなります。

 

さらに、それぞれが個別に仕事をしていますから、上司は部下の負荷状況を正確に把握することができず、柔軟に仕事を割り当てることが難しくなります。よって、今まで以上にあらかじめそれぞれの職務内容を明確に決めておき、個人にその達成を求める必要性に迫られます。従業員11人は与えられた職務内容のみに集中し、そのパフォーマンスによって評価されることになります。

 

アメリカでは、職務記述書と呼ばれる個人の職務内容・期待水準が明確に記述された仕様書に基づいて雇用管理されます。職務記述書には書いていない仕事は与えられませんし、やる必要もありません。日本でもリモートワークの進展で必然的にアメリカ型職務主義に移行することが予想されます。

 

さらにリモートワークでは、上司の部下に対するフォローアップは難しくなります。個人にはより一層、自律意識や自己責任感が求められるようになります。育成やフォローアップの必要性がある新卒採用は控えられ、即戦力が期待できる中途採用が進む可能性があります。

 

 

■組織としての協働体制をどのように維持するかが課題

 

バブル崩壊以降の経済環境や、ITの進展により、これまでも日本の雇用管理は変容しつつありましたが、リモートワークの進展でより個人のパフォーマンスが求められる雇用管理が促されることが予想されます。このような状況の中で、組織としての協働体制をどのように維持するかが大きな課題になるでしょう。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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